東京地方裁判所 昭和45年(借チ)1051号 決定
〔主文〕1 申立人が別紙目録(三)記載の改築をすることを許可する。
2 申立人は、相手方に対し、金四三五、〇〇〇円を支払え。
3 本裁判確定の月の翌月から、本件賃貸借契約の賃料を一カ月金三、七六五円に変更する。
〔理由〕一 本件申立の要旨
1 申立人は、昭和二二年七月一日鈴木金吾から別紙目録(一)記載の土地(以下「本件土地」という。)を、木造家屋所有の目的期間の定めなく賃借し、相手方は、昭和三八年六月右賃貸人たる地位を承継し、本件土地の現在の賃料は一カ月金二、〇〇〇円である。
2 申立人は本件土地のうえに別紙目録(二)記載の建物を所有しているが、本件土地の仮換地指定に際し、仮換地上に、同目録(三)記載のとおり改築すべく計画中のところ、本件賃貸借契約には増改築禁止の特約が存するので、相手方の承諾を求めたが得られないので、右承諾に代わる許可の裁判を求める。
二 当裁判所の判断
1 本件で取調べた資料によれば、前記一の事実のほか申立人の別紙目録(三)記載の改築計画は、土地の通常の利用上および法令の制限上相当であることを認めることができ、他にこれを不当とすべき事由はない。相手方は、本件賃貸借契約の期間満了時には更新を拒絶して本件土地を自ら使用する必要があるので、現段階で改築を認めることは相当でないと主張するが、前記資料によれば、本件の賃借期間はなお約七年あり、右満了時に更新を拒絶しうる明らかな事由が存するとは認められないので、右主張は採用しない。
2 附随の処分につき検討する。
鑑定委員会は、申立人に対し、金四五〇、〇〇〇円(更地価格の3.62%に当る)の給付を命じ、かつ地代を一カ月金三、七六五円に増額するのが相当であるとしている。
ところで、本件改築は、既存建物を取りこわし、新材をもちいて全面的に建てなおすもので、これにより、建物の耐用年数を延長させ朽廃による借地権の消滅の可能性を減じ、期間満了時の正当事由の要素として賃借人に有利となり、更に買取価格の増加により明渡を求めにくくなる等の利益を賃借人に与え、他方賃貸人にこれに応じた不利益を与えるのであるから、この利害を調整するため申立人に財産上の給付を命ずべく、その額は、既存建物の老朽度改築の規模および本件賃貸借の経緯を考慮し、鑑定委員会の定める本件土地の更地価格(総額金一二、四三五、〇〇〇円)の3.5%にあたる金四三五、〇〇〇円(百以下切捨)てと定める。
賃料は、鑑定委員会の意見のとおり、本裁判確定の月の翌月から一カ月金三、七六五円に変更する。(筧康生)
目録 (一)
(賃貸借の目的土地)
1(現在使用中の土地)
東京都江戸川区平井三丁目一一七八番地一
宅地 114.09平方米(契約上128.79平方米)
2(仮換地指定後の土地)
街区番号 五六
仮換地符号 一一七八ノ一
符号 一
地積 九三平方米
目録 (二)
(現在建物)
東京都江戸川区平井三丁目一一七八番地
家屋番号 一一七八番四
(登記簿上)
木造瓦葺平家建 居宅
54.54平方米(16.50坪)
(現況)
木造瓦葺亜鉛メッキ交葺
二階建店舗・居宅
一階 82.14平方米
二階 35.10平方米
目録 (三)
(改築計画)
既存建物を取りこわし仮換地上に
木造瓦葺二階建 店舗・事務所・居宅
一階 66.94平方米(20.25坪)
二階 61.98平方米(18.75坪)を建築する。